さようなら、おめでとう

 昨日、ついに一緒に研究していた中国人の学生が帰国の途につきました。昨日の夕方に授業の室戸巡検から大学に帰ってきて、その足で高知空港まで見送りに行きました。

 早いもので彼が高知に来てから15ヶ月が経ったのでした。彼は中国政府の科学関連組織から奨学金という名目の滞在費をもらっていました。これは中国の博士課程の学生に向けた留学のための奨学金で、彼は正式には中国の大学の博士課程の学生なのです。コロナ禍で散々延期になり、その間に博士を取ってしまうとこの奨学金をもらう権利が失くなってしまうので、博士の取得を遅らせてまでして日本に来てくれました。元々は地質ではなく、実験技術系の研究をしていたのですが、そのテクニックを天然に生かしたいということで、私のところに来たものの、当初は卒論生よりちょっと良い程度の地質学の知識で、どうしようかと思っておりました。ですが、やはり博士に今にもなりそうな優秀な学生であって、ほぼほぼ全くど素人の分野に果敢に挑戦し、まじですごい結果を出しました。ま、やっていることはそれほどすごくなくて、色々な人に助けられてデータを出してもらって、といった感じではありますが、結果がものすごくよかったです。ラッキーです。その上、この研究の設計とデータの解釈については彼の力が大きいのです。このために、大量の論文を読み、もしかしたらこのデータとこのデータはこのように関連しているのではないか?と私の部屋までやってきて、議論する毎日でした。ついに帰国の日を迎えて大変残念ですが、今後も中国の研究室とはやりとりを続けていくつもりです。

 

 と、余韻に浸っていたところ、本日は学振DC1の内定発表日でした。学振DC1とは、来年度博士課程に上がる予定の若い研究者の卵への科学フェローシップで、3年間、給料と研究費がでるというものです。なんと、来年の4月から私の研究室に二人、博士課程の学生が入ってくることになりました。こんな意識高い?学生がいたことはなく、修士1年のころから二人とも博士に行くと言っていました(二人ともうちに来るかは決まっていませんでしたが)。ということで、当然ながら学振DC1を狙いに行きます。申請締め切りは修士2年の5月ごろでした。それまでに論文が出るか出ないかでDC1の当たる確率がだいぶ変わります。一人はなんと運良く修士1年の8月に無事論文が受理されて、相当DC1の当たる確率が上がりました。もう一人は、締め切りギリギリに論文のレビューの結果が帰ってきて、メジャーリビジョンでした。リジェクトじゃなかった!ということで、論文受理の見込みを申請書に書くことができました。

 で、論文持ちの学生の方はめでたくDC1採択内定との結果でした!すごい!おめでとう!分野内で64人申請して9人が1次選考での採択ということで、採択率は14%。厳しいですね。この分だとうちでもう一人というのはだいぶ難しいと思うのですが、メジャーリビジョンの方の彼の論文は順調にリバイスを提出しており、今回ダメでも次に論文持ちでリベンジできると思います。がんばれ!