残りわずか

 2月になりました。私のドイツ滞在も残りわずかとなりました。あっという間の一年でした。光陰矢のごとしですね。

 3月は出張で出ずっぱりです。3月頭から帰国ギリギリまで国外を渡り歩く予定でして、キールに滞在するのはほぼ残り1ヶ月。近所でまだ行けていないところを今月中に回りたいなぁ。

 さて、ドイツ滞在について、そろそろ気分はクロージングモード。最後のスパートでデータ解析にあたります。あとは先日返ってきた論文のリバイス。あと、明日明後日と大学でマイクロプローブ分析を入れました・・・。なんか知らないけど、あんまり専門に合致していないような論文レビューの依頼も来ている。しかし私が個人的に興味ある分野で、3−4週間使っていいとのことなので、これは受けようと思います。ほかにも3月中旬のインスブルックでのレクチャーの準備。といった感じでいろいろ忙しいはずなのですが、気分はクロージングモードな上にドイツののんびり生活にどっぷりなので、ペースは遅いです。

 ドイツ人はちゃんと休んで日本のように狂ったように働かないです。日曜日に店がちゃんと閉まる。クリスマスもちゃんと閉まる。平日は5時前にみんな帰っちゃう。有給は6週間しっかりとる。夏とかにまとめてとると、土日含めて2ヶ月くらい一気に休む。それでいて昨年の経常黒字が30兆円超えて史上最大だったって。日本の倍くらいある。まったく不思議なことです。ユーロのおかげとも言われていますが。

 ドイツ人と話をしていると、日本人が働きすぎというイメージがこちらでも定着しているようです。多分日本のサラリーマンは、夜の9時とか10時とかの帰宅が一般的だと伝えると、なんでそんなに働くのか?そんなに働いて集中できるのか?とか聞かれます。西洋人らしく、自分と家族との時間を大切にする、仕事は短時間に集中してやる、という意識がしっかりあるみたいです。人としてモットモだと思います。私は中途半端に勤務時間だけドイツ人に似せて、短時間に集中するところが真似できていないみたいです。だめじゃん。

 ドイツの一人勝ちは不思議なことですが、国際的にはなんで奴らばっかりいい思いをしているのか、と妬んで嫌われる要素を含んでいる気がします。住んでみると私なんかはみんないい人ばかりだなぁと思うんですけどね。一方で、どこかやっぱり日本人にちょっと似たような、ある一定の距離やら壁やらを作る傾向があるらしい。そうだろうなっていうドイツ人もいて、そう感じないドイツ人もいます。

 いろいろ勉強になります。

 

A decision letter

 ドイツに滞在中に3本論文を投稿しました。確か6月下旬と8月中と12月下旬です。実験、巡検、秋の日本出張などもありましたので、まぁプロダクティブだったと言えるでしょう。8月中の論文はあえなくリジェクトでした。

 問題は6月下旬に出した論文で、一向に返事がありませんでした。ある企画物の特集号で、かつては特集号といえばみんなが足並みをそろえるまでのんびり時間のかかるものでしたが、最近はアクセプトされたものからオンラインでパブリッシュされて、揃ったら冊子を印刷みたいな形が多いのであまり時間的な制約を受けなくなりつつあるはずでした。

 正月明けてキールに戻ってすぐ、特集号のチーフエディターに6月下旬の論文の進行具合を聞きましたところ、2週間ほど返事がなかったので、またメールしました。二度目のメールにすぐ返信が来て、一度私の論文にアサインしたゲストエディターの家族に健康問題が発生し、チーフエディター本人が担当することになったりして、対応が遅くなったとのことでした。もうすぐ返事できる状況とのこと。

 これが先週で、昨晩、無事デシジョンレターが来ました。マイナーからモデレートリビジョン(小から中修正)とのことで、なんとか通る見込みがたちそうです。よかったよかった。

 あとは12月下旬に出した論文の結果待ちです。

 何度も言っているように、ドイツでやった実験の結果をまとめて帰国までに論文にしたいと思っています。ですが、いろいろ忙しくなかなか手が回りません。今は来年度の学会のアブストラクトを執筆中。本日中に終わらせたいなぁ。サンプルの日本への送付手続きもあります。

新年のいいニュース、たてつづけ

 先日、ある雑誌に転送した論文がレビューにまわったという話をしましたが、その後もいいニュースが立て続けに舞い込んできています。新年早々景気がよいです。

 昨年の9月の日本出張で出席した国際シンポジウムで、結構仲良くなった米国の教授がおりました。その時、その学生も2名一緒でした。なかなか活発な学生で、研究を楽しそうに語っておりました。キールに戻ってしばらくして、その学生からメールが来ました。曰く、米国サポートの東アジアを対象にした夏の10週間の研究プロジェクトに応募したいので、そのホストになってほしい、とのことでした。願っても無いことなので、すぐにオッケーの返事を出しました。その結果がつい先日出まして、無事採用されたとのこと。今年の夏、高知で一緒に研究することになりました。

 はたまた、昨年、ある国際研究プロジェクトに参加するべく、申請書を提出しておりました。その結果がアンオフィシャルについさっき来まして、なんとか採用されたみたいです。申請は日本を通じて行うことになっていたのですが、このアンオフィシャルな通知は日本からではなく、ヨーロッパ側から・・・。人脈って大切ですね・・・。

 いや今年は忙しくなりそうです。ドイツののんびり生活に慣れちゃってるので、日本に戻ったらリハビリが必要です。戻ったら新学部がスタートするし、免除されていた授業も始まります。オフィシャルには「がんばります!」。アンオフィシャルには「正直たぶんやってけないだろうな」。

ドイツでしゃべった人々

 ドイツではいろいろな国の人に会いました。ここでお話ししたことがある人の出身国を挙げてみましょう。ほんのちょっとしか喋ってない人も含みます。

 ドイツ人、日本人、中国人、台湾人、韓国人、ウクライナ人、イタリア人、フランス人、インド人、ネパール人、シリア人、イラン人、チリ人、ベネズエラ人、エリトリア人、アメリカ人、フィリピン人ですかね。覚えきれてない人もいるかもしれません。

 他にも学会とかでドイツ以外の国に行った時、話しした人々で上に上がってない国の人は以下の通りです。オーストリア人、スペイン人、スウェーデン人、メキシコ人ですね。

 この一年でいろんな国の人と話ししました。

  ドイツで初めて会った国の人は、ウクライナ人、ベネズエラ人、エリトリア人です。エリトリアってどこ?ってなりますね。エチオピアの北の国で20-30年くらい前に独立したみたいです。勉強になります。

 鉄板は天気の話。あとは、食べ物、仕事、サイエンス、政治、教育、歴史などですね。コアなキャラとは結構、政治や歴史の話で盛り上がります。これまた勉強になります。

 私がこういう会話の中で疑問に思ったのが、どうやら世界の人々の国民意識というのは日本人が思っているほどに明確ではないのかも、ということです。インドやネパールでは地域の言語が100以上あってお互いに会話ができないほど違うそうです。共通語があって、国民の間での会話は共通語を使う。国境付近では隣の国の影響が色濃く出て、ネパールの北はチベット系、南はインド系になるそうです。それでも、国境で国民意識は明確に区切られると言っています。が、本当でしょうか?

 ユーロ圏では、EUに対するデメリットとメリットで国民意識による不満がありつつも自由な移動を受け入れる寛容さを持ちます。あるいは、逆に同一国内でも独立の気運の残る場所があったり(スコットランドとか、スペインのバルセロナ付近とか)、オーストリアの一部だったドイツ語圏がそのままイタリアに編入されていたり。複雑怪奇です。

 どうも日本人が日本人と思っているほど単純ではないようで、私はどこどこ人というほど強く国民が結びついていないような気がするのです。これが中央政府の権限を弱くして、州政府の裁量が大きかったりすることにつながっていると思います。ドイツでもそう、中国でもそう。多分インドもネパールもそうだと思います。

 外国にいれば、同じ国民としての結びつきが強くなるのだと思います。でも日本人ほど強くないような気がする。気のせいかもしれませんが。

実験再開・論文

 予定通り、今月は実験再開。一時のトラブルはなんだったのか?と思うほど順調です。残りの実験は、これまでの実験をサポートするための、より簡便な実験なので気分的に楽です。今週初めに始めて、今日無事終了。来週あと一個やったら、こちらでの実験は終了する予定です。今月末からデータの解析にかかります。

 昨年末に投稿した論文はクリスマス前にあえなくエディターリジェクト・・・。ま、想定内です。エディターから別の雑誌に転送の提案をいただきまして、言われた通りの雑誌に転送したところ、先日レビューに回してくれるとの通知をいただきました。どうなることやらですが、朗報を祈って待ちましょう。4ー6週くらいかかるようです。3月の予定とかぶりそう。

 2月中になんとか今のデータで話を作って、3月に論文を執筆しようと楽観的に考えています。アイデアは固まっているで、どんな結果になろうとも話はできると思っているのですが。

 3月はこの論文執筆だけじゃなく、キールを去る準備もありますね。実は他にもイギリスの研究仲間を訪問する予定です。さらに、今の同僚が3月にオーストリアの大学に異動するのですが、そこでレクチャーする予定もあります。3月はちょっと忙しくなりそうで、2月一杯までにキールと周辺を余さず楽しまないとなぁ。