早稲田の学位取り消しは容易ではない

 小保方さんの学位論文が早稲田の取り消し基準を満たしていないので,取り消しはしない,という結論が出ました。早稲田はあのレベルの学位論文を博士号レベルとして認めるという結論かな?と思いますよね。ところが,不思議な文言が新聞に載っておりました。
「審査体制に不備がなければ,あのような論文が合格するとは考えにくい。」と。
 おやおや,やっぱり学位論文の審査体制に問題があることは認めていますね。
 どういうことかなと思っておりましたところ,調査委員会の報告書がネットで見れましたので,確認したところ,以下のような文言でした。
「本件博士論文には、上記のとおり多数の問題箇所があり、内容の信憑性及び妥当性は 著しく低い。そのため、仮に博士論文の審査体制等に重大な欠陥、不備がなければ、本 件博士論文が博士論文として合格し、小保方氏に対して博士学位が授与されることは到 底考えられなかった。」

分かりにくいですが,うちの審査は重大な欠陥,不備がある,と,言っています。

では,どうして取り消さないかというとい,以下のような論法です。
早稲田の学位取り消し条件は,「不正な方法」により「学位を授与を受けた」場合とのことです。
1.「不正な方法」は「不正と認識して」行った行為。不正の部分の中で,不正と認識して行ったと認定できる部分が一部ある。つまり,不正な方法はあったと認定。ただし一部分。
2. その一部分はあってもなくても学位授与判断に影響を与えるようなものではなかった。
3. よって早稲田の学位取り消し条件を満たしておらず,取り消しの判断を行わない。

「学位の再審査」ではなく,「取り消し条件の調査」だったのですね。
で,結論は早稲田の学位は取り消しが容易ではないので審査は慎重にね,だとさ。

すなわち,今回の委員会は,早稲田の学位審査体制について踏み込んだ調査をしていない。なぜそんな論文がスルーされて学位取得にいたってしまったのか,その改善策をどうするか。この点を反省を踏まえてクリアーにしないと,今後の学位も疑われ続けるのではないかと思います。