早速実験失敗

 今週頭、ようやく実験が再開して、順調に進んでおりました。ただ、待ち時間が長そうなサンプルでした。泥の塊に水を突っ込んで、周りから圧力をかけて、徐々に水を抜くことでちょっと締まった泥の塊にする、といったことをやってました。今回のサンプルは、この徐々に水を抜くのにえらい時間のかかるやつでした。まー2、3日待ってみるかな、というレベル。で、ほったらかして家に帰り、寝て、昨日朝、どの程度水が抜けているかを確認するためだけに実験室に行きました。

 どうせまだまだ放置だろうなと思いつつ実験室の扉の前に立つと、中からなにやら変な音がする。ぞっとしました。何かが起こっちゃってる。何も起こらないはずなのに。

 急いでドアを開けて、まず手前の目に飛び込んできた他の実験機が動いていないことを瞬時に確認して、一番奥にある自分の実験機を見ると、ありえない状態に!本来であれば透明な水で満たされているはずの外ケースが泥水で真っ黒け!しかもサンプルと外の水はゴムジャケットで遮断してあるはずなのに、なんだかぶくぶく泡吹いている!一番やってはいけない失敗をやっちゃったー!なぜか、泥水が辺りに散乱しており床までびしょびしょである。一体何をやらかしてしまったのか?頭の中で原因を探るも全く思い及びません。

 ひとまずバルブを閉じてぶくぶくを止める。パソコンのコントロールしているソフトを止める。ところまでやって、証拠写真をバシャバシャ撮ります。で、外に漏れ出している泥水を拭きました。次に原因究明のためにログ(記録データ)の検証です。サンプル周囲の圧力、サンプル内の水の圧力、上から軸で押し込んでいる圧力などをチェック。すると、問題の現象は一瞬で起こったようで、その直前まではまったく正常値を示している。うーんとおかしいぞ。こうなる理由がない。

 とその時、外圧力をコントロールしているはずのDOSパソコンがリスタートされていることに気がつきました。コントロールプログラムの開始コマンド待ち状態になっている。これはおかしい。

 技術者のラルフとデトレフ、いろいろ教えてもらっているロバートに状況をメールしました。ログのグラフも送りました。すると、数分後にラルフから返信が。

 「どうもログを見ると、一瞬停電した現象に見える。DOSパソコンは電源が弱いから瞬電で再起動しちゃって、ログ取り用のWindowsは生き残ったみたい。」

とのことでした。DOSパソコンが再起動すると外側の圧力がゼロにリセットされて、サンプル内の水の圧力が勝っちゃってジャケット破って溢れ出た拍子に外側の圧力をコントロールしているガス抜き穴から泥水が吹き出した、と思われます。

 ほーっと、安堵。なんか間違ったことしたのかと思った。しかし、この実験機、呪われてるわ。成功する気がしない。

 程なくラルフがやってきて、いろいろ議論。とりあえず、泥にまみれた実験機を洗って実験を終わらせることにしました。実験機の洗いが終わった頃、デトレフもやってきて、確信に満ちた目で瞬電だと思う、とのことでした。すぐラルフもやってきて二人で納得した模様。

ラルフ曰く

「原因が分かったと思うよ。初めてのケースだけど、多分間違い無いと思う!前進したね!」

前向きだね!

 DOSパソコンをチェックして、緊急電源を用意して、問題が解決したら連絡する、とのことで、また、修理待ちとなりました。この間に論文リバイスを進めています。もう少しで終わりそう。日本に帰る前に書いていた論文の続きもやろう。