デンマーク巡検2

 デンマーク巡検で色々感じた日本と似ている点、違う点をつらつらと書いていきます。

 今回巡検に参加した学生は20歳前後の大学二回生とのことでした。ですが、ドイツではいろいろ回り道してから大学に入ることもよくあることで、10歳年上の子とかもいました。どうも若いグループとちょっと年上のグループに二分されているような雰囲気でした。女子6名、男子6名のちょうど半々。女子は大いに元気で、積極的です。男子は誰とでも楽しく喋れる子一人、その仲良い子一人、この2名だけが女子と頻繁に交流しており、他の男子は固まって静かに話すといった感じでした。

 まず、フェリーが港に着いたのが朝6時。そこから街の中心に行って朝ごはんを適当にカフェで取った後、歩いて露頭へ向かいます。朝っぱらからです。すごいです。露頭へは歩いて30分ほどだったと思います。海岸に堆積岩が露出しています。露頭に着くと、なにやら作業内容を言うだけで、じゃ始め!となると、まずは学生が自ら露頭に張り付きます。その間、教員はどっかいっちゃいました。ミヒャエルにしても初めての露頭なので、事前に知識を詰め込んでいたとしても、実際の露頭でどこをどう説明するか、前もってチェックしているようです(これがわかるまでちょっとかかる)。とはいえ、まずは学生に自ら考えさせる時間でもあるそうです。私も学生と一緒に露頭に張り付きます。私は、まぁ専門家ですので、勝手に露頭を見ているだけで大変楽しめますが、学生にとってはきついでしょうね。でも、最初は何も伝えない方針のようでしたので、私の方から事前に説明することは控えました。

 しばらくするとミヒャエルとサンドラがどこからか帰ってきて、学生を集めて説明を始めます。その際、いろいろ学生に質問を投げかけます。こんな時、日本ではシーンとなるものですが、こちらの学生はしっかりしていて、いい速度で誰かしらかが返答してくれます。しっかりしてるなー。普段はあまり活発でなさそうな学生も、この教員とのやりとりでは何かしらしゃべります。何かそうしなければならない暗黙のルールがあるのだろうか?と勘繰りますが、聞いてみると、当たり前の顔でそれが普通だ、ということでした。私には不思議ですが、こちらでは何が不思議なのかわからないといった風でした。この間にも学生は教員のいったことを一字一句漏らすまいとするかのように、ノートに書きまくっています。

 いや熱心な学生であると感心しておりましたが、だんだん慣れてくると、やっぱり学生は学生で、意味もなく露頭を叩いたり、教員が帰り道に新たな露頭を発見したりすると、もういいよー、といった感じになりました。この点は同じですね。

 ランチは適当にパンとかを買って露頭に持っていくのですが、弁当を作る子もいれば、巨大なジャムを持ち歩いたり、チーズをナイフで切ったり、果てはビールを飲み出したり、同じテーブルに大人数で座っているにもかかわらず、タバコを吸い出したり、いろいろ自由でした。

 自転車で基本移動で、かなりの重労働でした。私も前半の3日間はなんとかついて行ったのですが、後半は全部車に乗せてもらいました。後半の長距離移動の日は学生が数名車に乗って、途中で交代するというシステムになりました。一人膝を痛めた学生がおり、彼とは後半ずっと一緒に車に乗りました。ミヒャエルに聞くと、どうも学生達はできるだけ自転車で移動したいと言っているらしく、自分の限界に挑戦するつもりらしい。若いってすばらしいですね。

 ミヒャエルには、気がついたことがあればどんどん追加してほしいと言われましたが、基本的に説明はドイツ語なので、自分が追加できることを判断することは困難でした。ちょっと作業に助言を加える程度。あとは、特徴的な構造を見つけるくらいですね。ま、おじさんが勝手に露頭を興味深そうに見ている姿を見てもらうだけでも良かったと思っております。

 説明はドイツ語ですが、なんとなく何を言っているのかはわかります。やや英語っぽい。また、露頭もあるし、身振りもあるので、ぼやっと伝わります。あと、よく聞く単語で、アゾー、ゲノー、ズーパー、アップシーボウ、アウフシーボウ、など耳に残りました。それぞれ、あ・そう、その通り、すごい、正断層、逆断層です。フォーメーションはフォルマチオン、フォリエーションはフォリアチオン、など、英語に似ている単語も多々ありました。一通り説明し終わると、ミヒャエルから英語で、私に簡単な説明をしてくれました。年代と特徴だけ言われれば、私もだいたい何がポイントなのかわかるので、簡単な説明で問題ありませんでした。

 だいたい朝のスタートは8時半。バンガロー外のテーブルで、前日のまとめ講義から始まります。模造紙を車に寄せて、片側を持つのが私の役目。ミヒャエルが、図を描きながら説明します。朝から大変です。また、緯度が高いので、夕方は夜10時くらいです。朝8時半から講義、10時ごろ自転車で出発、帰宅は夜8時などといったハードな日もありました。帰りはスーパーでいろいろ買い物しなければならない日でも夜7時ごろでした。いや、結構ハードですよこれは。

 次回はバンガローでの生活について書きますね。