デンマーク巡検1

 デンマーク巡検から昨日の深夜3時にキールの家に戻りました。昨日は疲れを取るため休みまして、本日から職場に復帰です。

 巡検に行ったのはデンマークボーンホルム島という島です。本体はプレカンブリアンの花コウ岩ですが、南部にカンブリア紀ジュラ紀白亜紀の浅海性堆積物も見られます。基本的には安定した地塊で、堆積面はほぼ水平、堆積物の間隙率も高め、脆い堆積物でした。これが、日本に慣れている自分にとって、結構印象的でした。日本のような活動的な場ですと、ジュラ紀白亜紀の堆積物は完全に岩石化しており、堆積面は高角に傾斜していることが多いです。自分は構造地質屋なので、変形が少なくてちょっと残念でしたが、同行したミヒャエルとTAのサンドラが岩石学を専門としているため、花コウ岩や変成岩の岩石学関連でいろいろと教えてもらえました。

 今回の巡検キール大学の学生向けの授業です。学部2年生向けとのことでした。20歳前後の学生が大半。13名の学生が参加しました。島のサイズは対角30キロメートルほどの歪んだ四角形で、なんと自転車で移動しました。が、私は後半は車に乗せてもらいました。1日の移動距離は最大で75キロほど。ありえません。

 もともとはキール大学のピーターという教員が主導して行う巡検でした。ピーターはかなり本格的な自転車乗りとのことで、このような企画になっているようです。ですが、そのピーターが巡検直前に自転車でこけて、手の骨をぼろぼろに折ってしまい、ドクターストップがかかって、参加できなくなってしまいました。どうも本格的な自転車の練習中に、先導する自転車の転倒に巻き込まれたようです。大変な手術をしたとのことです。その結果、5年前に学生として参加したTAのサンドラが参加する羽目になり、ミヒャエルが主導することになったのですが、当のミヒャエルは初めて参加するそうで、露頭を見たこともないし、場所も正確にはわからない、らしい。大丈夫なのでしょうか?

 泊まったところは島の中心街から2キロほど北のキャンプサイトです。バンガローのようなところに泊まりました。食事は自炊です。教員向けのバンガロー(6人部屋)にミヒャエルとサンドラと3人で泊まりました。単身赴任のおじさんには、自炊についてもいろいろと学ぶところがありました。

 また、学生への指導の仕方、学生の態度、教員との距離感、などについても印象深いものがありました。日本の学生と似ているところ、違うところなど、おもしろい比較ができました。

 ということで、今回の巡検は単に日本にはない地質を観察できたのみならず、学生との交流、バンガローでの自炊など、文化・生活の面でもいろいろよい経験ができました。テーマごとに、ぼちぼち書いていこうと思います。まずは、デンマーク巡検の概略でした。