日曜市

 私のアパートの一階には結構広いカンファレンスルームがあって、そのアパートに日本人が住むとわかると、カンファレンスルームを借りて日本人会を開くのがここ十数年の恒例とのことです。私に白羽の矢が立って、カンファレンスルームを22日に借りて日本人会を開くことになるはずでした。

 先週末、受け入れ教員の一人であるミヒャエルが、今度大学と共同で、学生を連れて野外巡検に行くんだけど一緒にどう?と誘ってくれました。こんな機会はまたと無いので是非参加したい、ということで、日程を聞いたら15日ー22日だと。

「はい、全く問題無いです!楽しみだー!!!。」

と舞い上がって即答して、しばらくふつふつと心の中で盛り上がっておりました。ところ、ふと

「あれ?そういえば、日本人会とかぶってないか?」

うわー、かぶってる、だがしかしヨーロッパの地質巡検なんてそうそういけるものでは無い、こちらが優先である、ということで、日本人会を管理されている方にすぐメールしました。

「わかりました、出来る時だけでよいのですよ。」

と温かい言葉。

「では、日曜日にまたちょっと打ち合わせしましょう。」

ということで、日本人会のリーダーの方に日曜日にまたお会いしました。

この方はキールに○○年(かなりすごい)在住で、私の父親と同じくらいの年齢ですが、足腰も強く、ハキハキ元気で、話していてすっきりします。羨ましい限りです。毎月第一日曜日は町の中心部で日曜市(フリーマーケット)をやっているので、それを見て回りましょうということになりました。私は待ち合わせの45分前くらいに来て、一通り見て回り、自転車用のヘルメットを10ユーロで手に入れておりました。

 ところが、そのリーダーの方は見る目が全く違うのです。骨董品の中に掘り出し物がある、と。特に日本のものはこちらの方には価値がわからないから、すごい安いんだとか。点々とある骨董屋を回っていきます。すれ違うのも大変なすごい人だかり。そんな中、リーダーの方は目ざとく日本のものを探し当てます。

「え?あ、ほんとだ、日本って書いてある。」

皿や壺の底に輸出品のためか日本とかMade in Japanとか書いてあります。それを側面から遠目で見つける技術がすごい!他にもブランドの皿などにも造詣が深く、大変勉強になりました。

 私も小綺麗な小さな壺を見つけてもらい、値段を聞くとなんと1ユーロ。

「思い出に買って行きなさい。」

と言われて、喜んで買いました。なんかすごい得した気分。

じゃ、レストランでご飯でも食べましょうか?とレストラン入り口のメニュー表をみるとまぁ、ぼちぼちの値段。

「あら、高い、もったいない。うちでカレーでもたべましょうか?」

と言われたので、え、カレーって日本的な?すごく食べたいです、ということで急遽おうちにお邪魔することになりました。

 おうちはマンションと一軒家(庭付き)の二つあって、一軒家の方は庭いじりを楽しむのがメイン、お客さんが来たら泊める、マンションの方が居住スペースとのことでした。歩いていけるところなので、まずはお庭を見せてくれました。家もなかなか綺麗で立派な家でした。庭はこれまたすごい立派な庭で、手入れが大変そうなくらいの広さなのですが、楽しいから全然苦にならないとのことでした。

 歩いてマンションの方へ。部屋には骨董市で買ったものや友達からもらったという日本のもので溢れておりました。日本人形も骨董市で手に入れたとか。富士山の描いてあるものを集めているとか。

 テレビでドイツでやっているATP250(テニス)の決勝戦を見ながらご飯ができるのを待ちます。地元ドイツのプレーヤーが優勝しそうです。

程なくして、日本のカレー、パプリカのサラダ、豚肉の煮物を白ワインでいただきました。カレーなつかしい。うまいです。話のテンポが良い方で、明るく元気、言いたいことをはっきりおっしゃるので話していて大変楽です。イメージですが、作家の佐藤愛子さんの語り口に似ております。単に強気で怒っているというわけではなく、どこか人の愚かなところを包み込むような。強くたくましく優しいリーダーの方であります。

帰りにジャムまでもらってしまいました。いやもう本当にありがたいです。