東日本大震災

 大変なことが起こってしまいました。被災された方々へ心からお見舞い申し上げます。特に東北地方沿岸部の津波被害にあわれた方々には、かける言葉もわかりません。テレビで信じられない光景を見て、唖然とします。被災者の証言が、遠く離れた地にいても迫真の事実となって迫ってきます。不明者と連絡の取れない不安、生活の不便、将来の不安、など想像を絶するストレスの中、じっと耐え忍ばざるを得ない。あるいはすでに親族の死に臨んで、悲しみの淵を避難所で見つめている方も多数おられるでしょう。一時にあまりの多くの方がなくなられました。

 沈み込みプレート境界地震断層周辺の物質科学というよくわからないことを専門としている私が、今回実際被災された方々に対して専門家としてできることは、ほとんどありません。現状の理学の社会性のなさを見つめております。いや、社会性はありますが、このような未曾有の自然現象に対しては、理学ばかりでなく、多くのものが無力であります。

 しかし、それでも、我々は理解しようとし続けなければならないと思います。地震の理学的な理解の重要性は訴え続けなければならないです。
 それから、伝え続けなければならないです。幸運にも私は教員であるため、若者に伝える機会があります。今回の地震がどういう物だったのか?今までの予想の努力、理解の努力、これからの研究の未来。



●我が高知大学理学部災害科学コースの村上先生のまとめページ
http://sc1.cc.kochi-u.ac.jp/~dpsci/cgi-bin/white/white.cgi?%CA%BF%C0%AE23%C7%AF%C5%EC%CB%CC%C3%CF%CA%FD%C2%C0%CA%BF%CD%CE%B2%AD%C3%CF%BF%CC


●関連している研究プロジェクト「超深度海溝掘削(KANAME)」の東日本大震災特設ページ
http://www-solid.eps.s.u-tokyo.ac.jp/nantro~/touhoku.html


●その中にある、震源域破壊領域の伝搬動画など

  • 今回の地震はどこで起こったか1

 ハーバード大学の石井水晶准教授による震源域の伝搬の動画などです(JAMSTEC深尾氏による紹介)。
 http://seismology.harvard.edu/index_jpn.html

  • 今回の地震はどこで起こったか2

 筑波大八木先生のページにも破壊伝播の動画が紹介されています.
 http://www.geol.tsukuba.ac.jp/~yagi-y/EQ/Tohoku/


●事前に今回の広域な破壊領域を予測した論文
Chihiro Hashimoto, Akemi Noda, Takeshi Sagiya & Mitsuhiro Matsu'ura, Interplate seismogenic zones along the Kuril–Japan trench inferred from GPS data inversionNature Geoscience 2, 141 - 144 (2009)


●千島海溝の過去の津波堆積物から平均500年周期の特別な巨大地震(unsusually large earthquakes)を予想した論文(日本海溝ではないですが、プレートは共通)
Futoshi Nanayama, Kenji Satake, Ryuta Furukawa, Koichi Shimokawa, Brian F. Atwater, Kiyoyuki Shigeno & Shigeru Yamaki Unusually large earthquakes inferred from tsunami deposits along the Kuril trench. Nature 424, 660663 (2003).


●掘削船ちきゅうは無事でした。その他震源域の情報など JAMSTECホームページ
http://www.jamstec.go.jp/j/


東京大学地震観測所特設ページ
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/