残り5日。論文投稿

 航海はいよいよ残り5日となりました。ほぼほぼ終わりです。今日は天候悪化で波が高く、掘削が止まっております。試料が上がってこないので、これまでのデータを整理したりしてました。が、基本暇です。

 乗船前に悶々と書いていて、乗船までに書き上がらなかった論文がありました。ある特集号の論文で、締め切りが3月末であり、延長はないと言うことでしたので、すっかり諦めていたのですが、なんと4月に入ってから4月末までに延長になりました。ちょうど船上では長期観測機器の設置で待機状態だったので、一気に書き上げまして、共著者に送りました。ドイツ人とアメリカ人との共著論文です。通常ですと英語校正をやって投稿するのですが、ドイツ人とアメリカ人が共著だから、彼らに校正をお願いしてみました。

「月末締め切りだから、3週間以内にお願いします。」

と出したところ、

ドイツ人の共著者から、

「授業や引越しで忙しく、全く時間がない。アメリカ人お願い。」

というメールが返ってきました。彼は最近、晴れてドイツのとある大学の任期なしフルプロフェッサーに採用されまして、その異動の準備で大忙しなのです。

アメリカ人は

「これから2週間フィールド授業で不在。そのあと時間ありそうだから、やってみるわ。」

という返事でした。

ところが3週間経ってもアメリカ人からの校正が来ず、リマインダーメールを出しました。これが1週間前くらいかな。

「おー、ちょうどやろうと思っていたところなんだよ。ありがとう!」

ということで、2日後くらいにアメリカ人の校正が返ってきました。

早速修正原稿を作って、また共著者に送りました。

すると、最初のドイツ人が、

「金曜日に時間がありそうだから、チェックして送り返すわ。」

といってきました。

で日曜日まで音沙汰なし。本日月曜日が締め切りです。

ま、来ないなら来ないでギリギリで投稿しようと思って、投稿のワンクリック前まで準備していました。

ところが、本日になって

はっしー、今やってる。これから数時間後と夜までに2通に分けて送るから。」

ドイツはこことは昼夜逆です。結局最後の返事が来たのが、ドイツの夜中の2時くらいでした。こっちは昼の11時。

「遅くまでありがとう!おやすみー!」

と返事を送って、さっき投稿しました。

アメリカ人とドイツ人の修正のおかげでだいぶ良くなったと思います。やっぱり話がわかっている人の修正は正確で安心感がありますね。校正会社の校正よりも筋が通ってますわ。

 いい勉強になりました。

残り10日ほど

 研究航海は残り10日になりました。現在は新しいサイトに移ったところで、次なるコアを待っているところです。

 今回の研究航海では30人ほどの研究者のうち、4人日本人が乗っております。ですが、一応気を使って、日本人同士でも英語で話します。こんなに日本語を話さなかったことはないというくらい日本語を話していません。おっさんですが、新鮮な気分です。

 コアと呼ばれる細長い円柱状の試料が海底から上がってくるのですが、おおよそ一回の採取量は10メートル程度です。これを延々と繰り返します。取れた円柱を、まず1.5メートルほどの円柱セクションに切り分けます。さらにそれらの円柱セクションを縦に半分に切ります。この半分片方がサンプリング用の試料になります。もう片方は保存用。で、何番目のコア(10メートル)の何番目のセクション(1.5メートル)、のさらに上から何センチのところのサンプルをとるのかというのを記録して、実際に研究者が採取しますが、このサンプル採取作業は時間ごとに担当研究者が決められています。ところが、昼夜交代の前後二時間は誰も担当者が決められていないのです。で、そこのタイミングでサンプリングの時間がやってくると、暇な人が集まって自発的にサンプリングをします。

 たまに日本人が3人になることがあるのですが、サンプル位置を言う時に、もーメンドくさいから日本語でやろう、となって、

「じゃ、行きまーす、コア8セクション1、25-62、あ間違えた、25-26だった。」

「・・・・、やっぱ英語でやろか。」

いや確かに英語でやってて楽ではないのですが、いきなり日本語に変換しようとすると、もはやそっちもままならぬと言う、中途半端な人間が出来上がっております。

 そろそろ帰り支度の手続きが始まりつつあります。

 なぜか自分の論文投稿、共著論文のチェック、レビュー依頼一本の仕事が溜まっております。陸にいるのと変わらないな・・・。メールやネットは本当に人を幸せにしているのでしょうか?世の中は大概、半分よくて半分わるい、表裏一体何でしょうね。

残り24日くらい?

 今日は4月11日水曜日。着々と日数は減って行きます。コアラボ(メインの研究室)の隣にワイヤラインロギング室というのがあって、暇な時に電気系の実験授業が受けられたりしたのですが、そこに木箱に光る数字が並んでいるカウントダウンボックスがあります。下にバーベキューと書いてある。土曜の昼はバーベキューなのですが、その時間までのカウントダウンタイマーになっています。ですが、そのバーベキューというところが回転するようになっており、横のつまみを回すとくるっとひっくり返って「ビール!」に変わります。すると上の数字もサッと変わって、下船までの日時になります。電気技師の遊び心が思いっきり現れたボックスです。

 今回の航海は前半はほぼ全く天候の悪い時がなく、順調にスケジュールに沿って作業が進行していました。しかし、ついに嵐がやってきて、現在、北のほうの湾に退避中です。今も結構揺れています。退避前に終わったサイトのまとめをやるべきなのですが、できるような状況ではないです。私は船酔いには強いほうなので、こんなの打ち込んで余裕ブッこいでますが、これ終わったら下のラウンジでソファーで横になって読書しようと思います。

年度末

 船上です。年度末ですが、そのような風情はややあわただしくなった日本からのメールでのみ感じられます。桜も見ず、卒業式もなく、船上で新年度を迎えます。帰ってからが大変になりそうな・・・。

 研究航海はまだあと6週間弱あり、序盤が終わって落ち着きつつあります。最初の掘削は終えて、今日でそれぞれの分野のレポート発表会が終わります。現在は長期観測機器の設置を行なっているのですが、いろいろトラブルがあり、予定よりやや遅れています。こん長期観測機器の設置の間にゆとりができて、サイトレポートにゆっくり取り組めるというメリットがあったのですが、あまりにゆとりがありすぎて、むしろ暇といえますね。

 いろんな分野というのは、岩相、変形、古地磁気、微化石、物性、化学、コアログサイスミックインテグレーションといった分野からなります。それぞれ一級の研究者で、お互いにサポートするデータが出たり、お互いに矛盾するデータが出たり。それらのデータの解釈や発展する議論をその場ですぐに行える、素晴らしい環境です。

 シフトキープで夜0時から昼12時まで、部屋に戻れず、何かしらやらないといけないので、こんなことやってます。

 日本の仕事もちょろちょろやってます。

ニュージーランド掘削航海始まりました

 ニュージーランド掘削航海が始まりました。7日に日本を発ち、8日にクライストチャーチ着。8日は夜のパーティーに参加し、9日にバスで2時間ちょいの移動で乗船しました。乗船後いろいろオリエンテーションがありました。準備のためか出航まで2泊ありまして、基本お酒が飲めない船なので、これから2ヶ月間で最後の陸上を楽しみました。11日についに出航。

 出港後はサイエンスプランの調整とサンプリングプランの作成を行なっています。あと個別のソフトウェアのオリエンテーション、サンプリングのオリエンテーションなどなど。同時に夜シフト昼シフトへの順応期間でもあります。夜シフトの私は0時から12時までのシフトです。22時起き、23時朝食、23時45分仕事始め、12時仕事明け、ダラダラして3時過ぎに寝るといった感じが理想です。まだ完全に体が馴染んでおらず、眠いです。

 明後日くらいから掘削コアが上がってくる予定です。今回はそれほど多く掘削コアを取らない航海で、サイトごとに長期観測機器のインストールで数日余裕が出る予定です。気分的に楽。英語のスキルをもっと上げに行こうと思います。体調管理が大切ですね。