残り24日くらい?

 今日は4月11日水曜日。着々と日数は減って行きます。コアラボ(メインの研究室)の隣にワイヤラインロギング室というのがあって、暇な時に電気系の実験授業が受けられたりしたのですが、そこに木箱に光る数字が並んでいるカウントダウンボックスがあります。下にバーベキューと書いてある。土曜の昼はバーベキューなのですが、その時間までのカウントダウンタイマーになっています。ですが、そのバーベキューというところが回転するようになっており、横のつまみを回すとくるっとひっくり返って「ビール!」に変わります。すると上の数字もサッと変わって、下船までの日時になります。電気技師の遊び心が思いっきり現れたボックスです。

 今回の航海は前半はほぼ全く天候の悪い時がなく、順調にスケジュールに沿って作業が進行していました。しかし、ついに嵐がやってきて、現在、北のほうの湾に退避中です。今も結構揺れています。退避前に終わったサイトのまとめをやるべきなのですが、できるような状況ではないです。私は船酔いには強いほうなので、こんなの打ち込んで余裕ブッこいでますが、これ終わったら下のラウンジでソファーで横になって読書しようと思います。

年度末

 船上です。年度末ですが、そのような風情はややあわただしくなった日本からのメールでのみ感じられます。桜も見ず、卒業式もなく、船上で新年度を迎えます。帰ってからが大変になりそうな・・・。

 研究航海はまだあと6週間弱あり、序盤が終わって落ち着きつつあります。最初の掘削は終えて、今日でそれぞれの分野のレポート発表会が終わります。現在は長期観測機器の設置を行なっているのですが、いろいろトラブルがあり、予定よりやや遅れています。こん長期観測機器の設置の間にゆとりができて、サイトレポートにゆっくり取り組めるというメリットがあったのですが、あまりにゆとりがありすぎて、むしろ暇といえますね。

 いろんな分野というのは、岩相、変形、古地磁気、微化石、物性、化学、コアログサイスミックインテグレーションといった分野からなります。それぞれ一級の研究者で、お互いにサポートするデータが出たり、お互いに矛盾するデータが出たり。それらのデータの解釈や発展する議論をその場ですぐに行える、素晴らしい環境です。

 シフトキープで夜0時から昼12時まで、部屋に戻れず、何かしらやらないといけないので、こんなことやってます。

 日本の仕事もちょろちょろやってます。

ニュージーランド掘削航海始まりました

 ニュージーランド掘削航海が始まりました。7日に日本を発ち、8日にクライストチャーチ着。8日は夜のパーティーに参加し、9日にバスで2時間ちょいの移動で乗船しました。乗船後いろいろオリエンテーションがありました。準備のためか出航まで2泊ありまして、基本お酒が飲めない船なので、これから2ヶ月間で最後の陸上を楽しみました。11日についに出航。

 出港後はサイエンスプランの調整とサンプリングプランの作成を行なっています。あと個別のソフトウェアのオリエンテーション、サンプリングのオリエンテーションなどなど。同時に夜シフト昼シフトへの順応期間でもあります。夜シフトの私は0時から12時までのシフトです。22時起き、23時朝食、23時45分仕事始め、12時仕事明け、ダラダラして3時過ぎに寝るといった感じが理想です。まだ完全に体が馴染んでおらず、眠いです。

 明後日くらいから掘削コアが上がってくる予定です。今回はそれほど多く掘削コアを取らない航海で、サイトごとに長期観測機器のインストールで数日余裕が出る予定です。気分的に楽。英語のスキルをもっと上げに行こうと思います。体調管理が大切ですね。

ニュージーランドで研究航海

 二月は慌ただしく過ぎまして、二月下旬から1週間ほどの期間、ニュージーランドへワークショップと野外巡検に行ってきました。ワークショップは北島のウェリントンでありました。口頭で研究発表いたしました。まま、楽しかったです。その後、南島へフェリーで移動しレンタカーを借りて、カイコウラ周辺の地震による地形変動を観察しました。2年前にお世話になったティム教授ともそこで再開しました。彼らは1週間におよぶ野外調査実習を行っており、20名ほどの学生も一緒でした。ドイツの時のように先生たちは学生たちに質問しながら説明を行っていましたが、ドイツの学生よりは反応が鈍かった印象です。我々が合流したのは野外調査実習の最終日で、その前に行っていた調査の結果を割り当て地域の学生がみんなに説明するという形が斬新でした。しっかり説明できていました。

 カイコウラ地震は2016年の11月に起こった地震で、南島の北縁あたりの横ずれ断層が地表で12mほどすべって起きました。地滑りが各地で発生し、ダム湖を作って下流の家々を危険に晒したとのことです。ですが人口密度が低い地域だったからか被害という意味ではそれほど大きくなくて、日本ではあまり取り上げられていなかったと思います。

 で、無事巡検を終えて土曜日に帰国。さみしいかな高知に戻れず、一泊東京トランジット泊でした。そのタイミングを見計らって、今回は20年ぶりくらいの大学時代の友人たちと東京駅付近で飲みました。みんなほとんど変わってなくてびっくりしました。あの時あんなこと言ってたよねー、え、そんなこと言ってたの覚えてないわー、とか言い合って、ものすごい楽しかったです。若い時の友人はいいものですね!

 東京一泊明けて、日曜日に高知に戻りました。また納豆ご飯の朝食に戻りました。うめー!!月曜と火曜でいろいろ雑用をこなし、日本滞在3日ちょい。明日またニュージーランドへ発ちます。これまで何度も言っていましたが、今度は2ヶ月間の乗船研究です。ニュージーランド北島東沖のヒクランギ海溝(トラフ?)の海洋掘削プロジェクトに参加します。ほぼ定期的な2年おきにスロースリップが明瞭に計測されている場所で、海溝先端まで滑っているのではないか?と思われているところです。その物質はなんなのか?本当に海溝先端まで滑っているのか?深部のメインで活動しているところはどのような物質が期待されるのか?また掘削孔に長期観測機器を埋め込む作業も行います。

 年度末と年度始めの忙しい時期に不在にいたしますので、またまた同僚の方々には感謝感謝です。大変ありがたいです。

 船にはテレビ電話システムがあり、家族と連絡を定期的に取ろうと思います。

 とにかく楽しみです!

2月になりました

 あっという間に1月が終わり、2月に入りました。

 明日、米国のポスドクがやってきて、3週間かけて、忙しい同僚の助けを借りて分析試料の作成と前分析を行う予定です。私もできる範囲で手伝います。彼の招聘は私のプロジェクトの一部で、飛行機代だけ負っております。

 彼の帰国の翌日に、私もニュージーランドに出発です。9日間ほど。で一旦帰って来て、また3日後にニュージーランド。これは研究航海で2ヶ月間です。帰国は5月の頭。

 この2月が勝負です。会議が四つ、高知の飲み会がいまのところ三つ(プラス東京トランジットで一回と最初のニュージーランドでオフシャル一回)、あと来年度の卒論関連でちょろちょろ、の中、なんとか論文を一本書きたいなー。全く進んでいませんが。

 前の土日は愛媛の松山へ行って来ました。日曜日に愛媛の高校生のサイエンス研究発表会がありまして、審査員をやりました。当初依頼された先生が都合が悪くなって代打です。ついでに前日入りして、ばぁちゃん、おじさん、おばさん、いとこのところに泊めてもらって、一杯やりました。いい機会をいただきました。鶏肉のうまい居酒屋に連れて行ってもらいました。鶏肉もよかったし、最後の出汁茶漬けが最高でした。

 で、本番の審査。200名ほどの高校生と40ほどの研究発表があつまりまして、盛大に行われました。朝10時から15時過ぎまで、昼休み挟んで延々と発表を聞き続けました。だいたい一件15分程度。審査は私を含めて6名が一般部門の27件を担当しました。10分程度で発表を聞いて、5分ほどの質疑応答。審査項目に質問の理解力と適切な回答という項目があり、なんか質問しないといけないなぁと思ってとりあえず最初に手を挙げるのですが、なんと場合によっては高校生が私と同時に手を挙げます。

高校生「あ、すいません」

私「いやいやいやいや、どうぞどうぞどうぞ」

と、高校生に質問を促します。すばらしいことです。引っ込み思案な日本人はどこにいったのかな?こういう場で質問のない学生は高知大にいっぱいいる。今回の発表会では発表する高校生は自分の研究を愛して止まず、おもしろさを伝えようとする姿勢がすばらしかったです。聞く方の高校生も鋭い質問をばしばしやって、議論が活発でした。日本の未来は明るいですよ。

 とはいえ、どうなのかとは思うけども、研究って楽しいばかりではない、とか彼らにいうべきかどうか。専門性が進むと、本当に誰も知らない世界が分かって来る。そこが研究者としての始まりですね。じゃ、何を知るべきなのか?どうやって知るのか?その理解がどれほどすばらしいことなのか?そういう研究設計を自らできるようになるには、あと10年くらいかかるんじゃないかな?私なんか博士とってもできませんでしたよ。

 研究者にならなくても、そういう目的の発見、人へのアピール、他人を巻き込む力というのは社会のリーダーとして重要なスキルだと思います。そういうの伝えたいのだけれども、言うのも無責任だと思わなくもない。こういうの言う必要なくって、自分の経験で掴み取るものなのかもしれないですね。だって、そう言うスキルを身につけるのが大切だと言ったって、どうやるかは具体的に言えないもんね。とにかく知的好奇心によってチャレンジしつづけるだけでいいんだよ、といえばよい、かな。